糖化と美肌

透明感があり、キメ細かく、ハリ・弾力のある美しい肌を保ちたい人にとって、肌の糖化は最近大きく注目されている老化リスクの一つです。これまで肌の老化対策には「抗酸化ケア」が大切であるといわれてきましたが、糖化についても同様のケアが必要なことがわかってきました。糖化は、肌のハリを保っているコラーゲン繊維にダメージを与えます。酸化の「さびる」に対して、糖化は「こげる」といえばイメージしやすいでしょうか。肌のコラーゲンやエラスチンファイバーなど美肌を保つたんぱく質のはたらきは、糖化によって低下します。つまり、糖化によってたんぱく質が「こげる」ことで肌は弾力を失い、ハリのない、老化した状態に変わってしまうのです。また、糖化によって生じるAGEs(糖化反応最終生成物)が皮膚の細胞に溜まり、くすみの原因となることで、肌の透明感も失われてしまいます。近年、皮膚中において、AGEsの一種であるカルボキシメチルリジン(CML)の蓄積が明らかになり、肌のキメ、ハリ、弾力変化に対する影響が注目されています。

老化の危険因子としての「糖化ストレス」の位置づけ

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アンチエイジング医学は予防医学の一つで、生活の質(quality of life; QOL)の改善と健康長寿を目指す学問である。ヒトの老化の表現型には、血管の老化(動脈硬化)、神経の老化(認知症、アルツハイマー病)、骨の老化(骨粗鬆症)などがある。しかし個人差があり、さらに各個人が抱える老化の危険因子はそれぞれ異なる。このため、アンチエイジングドックでは老化度(機能年齢)を筋年齢、血管年齢、神経年齢、ホルモン年齢、骨年齢として評価する。さらに機能年齢の低下に関与している要因を老化危険因子として位置づけ、免疫ストレス、酸化ストレス、心身ストレス、糖化ストレス、生活習慣に分けて評価する。

アンチエイジングドックによる評価結果は、老化度が最も高い項目および老化の危険因子が最も大きな項目に着目し、突出して老化している項目を是正し、老化度の全体のバランスをとることを目標にしている。アンチエイジング医学における糖化ストレスは、還元糖やアルデヒド負荷による生体へのストレスと、その後の反応を総合的にとらえた影響として老化危険因子の一つととらえられている

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糖化と美肌について

糖化とは、グルコースなどの還元糖とタンパク質の非酵素的化学反応。この糖化反応により生じるAGEsが生体組織中のタンパク質を変性させて機能低下を起こす原因と考えられている。肌の場合は、コラーゲンやエラスチンなどのタンパク質が糖化してAGEsが増加することで肌の弾力性やハリが低下したり、肌がくすんで見えるといわれており、特に肌弾力が低下するのは、真皮層に蓄積されたAGEsが線維間架橋を形成する結果、線維と線維の間が固定され、しなやかさが失われることで起こる。また、AGEsの1種であるカルボキシメチルリジン(CML)は、代謝の遅い真皮コラーゲン線維や弾性線維だけでなく、代謝回転の速い表皮にも存在する。

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